『教養としての経済学』
FindUメンバーが中高時代に読んだ本/読んでおきたかった本をオススメする「BooksU」。
第5回の今回ははやしが高校生当時興味をもっていた経済学について書かれており、実際に読んでおもしろかった入門書を紹介します!
高校生向けに書かれている!
高校1年生の頃に大学についてぼんやり考えていた私はふと思いました。
はて、好きな高校の教科と行きたい大学の学部がまるで一致せん…。
その頃の私が興味を持っていたのは経済学部だったのですが、高校の「公民」や「現代社会」でやっている内容となんとなく違うことはわかっても、ではどのように違うのか、大学の経済学部では何をするのかは全く想像がつきませんでした。そのときに出会った本がこれです。

この本は、「経済学部を進学先に考えている高校生、経済学部に入学したての大学生、そうした生徒や学生をお持ちの親御さんたち」や「高校で進路指導をしている先生方」に向けて、「経済学に抱かれている得体の知れなさ、取っつきの悪さというイメージを払拭してもらうために、一橋大学経済学部の研究者が編んだ本」(前書きより)です。ドンピシャ。どんのぴしゃ。
大学の先生はけっこうな割合で本を書いていることが多いですが、その中でも高校生向けに書かれた本は高校生に向けて書かれている本ですから高校生にとって学部や自分の関心をイメージするのにとても役にたつことが多いです(教授のイメージする“高校生“像が実際の高校生と離れすぎていてまったく役に立たないものも中にはありますが)。これはその中でもピカイチでまとまっているほうの本だと思います。
数学の知識を要求する章もあるにはありますが、「ゲーム理論」や「為替レート」などコトバは聞いても実際よくわかっていない事がらについての章も多く、単純に面白かった!
外国語や数学を学ぶモチベーションが上がらないときに
高校生になって、試験や成績に少しうるさくなった周りの雰囲気を感じた私はこう思いました。
みんな「英語と数学だけはやっておけ」といってくるけど、いうほど英語も数学も得意でも好きでもないんだよなぁ…。どういう風に役に立つのか、わかるようでわからんし。
なんとなくやる気がおきなくてなんとなくなあなあになっていたときに読んだ本がこれです。
この本はいろいろな教授が書いた細かな章に分かれていて気になった章だけ読んでいるだけでけっこう十分なのですが、実際に章立てをみてみると、
「「大学生が多すぎる」は本当か?」(55~64頁)
「需要と供給の世界 ミクロ経済学への誘い」(109~117頁)
「電力が変える経済社会の風景 ベル・エポックのドイツ都市」(202~209頁)
といった経済問題や学問紹介と並んで
「なぜ、数学を学ぶのか?」(226~234頁)
「道具としての外国語」(258~265頁)
「番外:限定的な英語能力の逆手の取り方」(272~275頁)
といったおそらく数学や英語に悩む高校生(自分じゃん)に向けて書かれた章立てもあって、罠にかかったようで少しシャクでしたが実際読んでしまいました。
理系の高校生、文転した大学生、数学や統計を用いるすべての大学生に。
経済学部は、数学と英語ができれば入ることができることも多い学部でもあるので、理系受験生の併願先や理系学生の転学部(文転)先になることも多いです。
また、経済学部に行かなくても数学や統計を用いて社会や心理を考えることも、大学生になると実は多いです。
進学先が決まったときや本当にこの進路でよいのか迷ったときにぜひ読んでみてください!
「経済学は断片的な経験知から社会の全体構造を描き出し、そしてその理解が正しいかどうかを検証するための方法論を持っている。…理科の方法に魅力を感じつつも社会現象に関心がある高校生は経済学部への進学を検討してほしい。」(64頁)
作品紹介
一橋大学経済学部編『教養としての経済学ー生き抜く力を培うために』2013年、有斐閣