『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』(2)

FindUメンバーが中高時代に読んだ本/読んでおきたかった本をオススメする「BooksU」。第7回の今回も前回に引き続き、あんどうを東大日本史学科へといざなった、歴史学の名著をご紹介。そこには、歴史学にとどまらず異なる考え方がぶつかる世界を生き抜くにあたってのヒントが詰まっているのです。

「史料」とはなにか

さて、前編では序章しか紹介できなかったので、ここからはより本の中身にも触れていきたいと思います。

本書は1章から5章までの5章構成で、それぞれ日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦、満州事変と日中戦争、太平洋戦争の5つのテーマを扱っています。

皆さんは史料という言葉を聞いたことがありますか。

史料とは、過去の痕跡のことです。たとえば、公文書、手紙、日記、新聞、もっと古い時代では遺跡や出土品…。過去のことを知る手がかりになるものは何でも史料になります。歴史「学」とは、史料をもとに過去を再構築していく営みです。歴史学者ではないですが、シャーロックホームズを想像してもらえると案外近いのかもしれません。

本書では全ての章で史料が多く引用されています。

いずれの章も戦争という国家の命運をかけた事態を対象にしているため、外交交渉や政府の意思決定に関わる史料は緊張感に満ちています。そこで注目すべきは、自己の主張が正しいと信じる人間同士の論理の対決です。

アンチであること

ここで考える問題は、どうすれば戦争を防止することができるかという問題です。思うに、現状に対する単なるアンチでは現状を超えることができません。

たとえば、戦争が嫌だからと言って平和の大切さを叫ぶだけでは、「どうすれば平和が訪れるか?」や「そもそも本当に平和が望ましいのか?」といった問いを解決することができないでしょう。

我々が本当に戦争をなくそうと思ったならば、何よりも戦争を知り、その問題点をえぐり出す必要があります

本書とそこで引用される史料は、戦争の論理を生々しく描き出しています。

もしあなたが戦争という問題に興味があるなら必読の書だと思います。

さらに言えば、この思考法は戦争に限った話ではありません。

いじめや学校といった社会レベルの話から、あなたが個人的に抱え込んでいる不満まで…。

倒したい「敵」があるならば、それを徹底的に理解し、良いところと悪いところをそれぞれ見定めた上で改善していかなければなりません。

単なるアンチで止まるのではなく、改善する力を持ったアンチになるために必要な思考訓練の場としても耐えうるだけの名著であると思います。ぜひ読んでみてください。

作品紹介

加藤陽子『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』(朝日出版社、2009年)   文庫版は(新潮社、2016年)

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